暑い夏が終わって、寒すぎず、過ごしやすい季節が来たというのに。
私は落ちる。
冬に向かうにつれ鬱が悪化する理由など、とうの昔に聞いて忘れた。
枯れた落ち葉に同情し、
寒い夜の野良猫に同情し、
なぜ自分に同情出来ないのか。
なぜ寒いのに暖まろうとしないのか。
私が心配しなくとも動物達は勝手に冬眠の準備をし、勝手に寝る。
餌が豊富に食べれず、肥えないまま冬眠したとして私には何の関係もないし何をしてやれるわけでもない。
ましてや冬眠のままタヒんだのなら、苦痛も不安もなく逝ったのだから悲しくはないではないか。
同情詐欺。
冬にタヒにたくなるのも所詮シヌシヌ詐欺。
何もやる気が起きず、腹だけは減り、逃げるように眠る。
暖かいときはいろんなものが、分かりやすい音を立てて近づいて来ていたので遠くからでもよく見えたのだが、
それか寒くなると突然
音もなく、
静かに、
冷たく、
近づいて来る。
気がつくとすぐ横にいるのだ。
みぞおちが絞まる。
本当に、シヌシヌ詐欺などしている場合ではないやんけ!と焦る。
こうして悦に入っている間にもどんどん近づいているというのに、体は動かない。
頭の中は大騒音。
明日目が覚めなきゃいいのに。
でも冬眠するのは嫌。
起きなならんから。