犬の躾

父は母をおもちゃにした

母は子供をおもちゃにした

子供は妹をおもちゃにした

妹は犬をおもちゃにした


私がおもちゃにしたのが犬であったから

私は今生きていられる

犬は

仕返しなどしない

恨みもしない

恩を着せることもしない

ただただ

そこにいた

鎖に繋がれて

言葉も通じないから

当たり前

30年経っても

私は犬が飼えない

飼わない

飼いたくもない

おもちゃだもの

同族をおもちゃにすることよりも

ひどい

だから

苦しくても

いい

喜んで

背負う

酷い奴という名目で生きていられる

なんでもいいから

生きる理由になれば

名前が付けば

意識される