私の職場には接待用の茶室があり、その建物の前にちょっとした庭がある。
植木屋に定期的にメンテナンスをされている綺麗な庭を、出勤前に前を通る私はいつも少しの間眺める。
庭の木の中に一本、3メートル位の小さなものがあるのだが、毎年夏になるとその木の枝という枝が蝉の抜け殻でいっぱいになる。
他にもたくさん、大きく、枝振りのいい木はあるのになぜ。
そう思って上ばかり眺めていたがふとその木の根元や周りを見てみると、色々な人生模様が。
殻から半分体が出た状態で終わったもの、
羽化したが羽が十分に開かず終わったもの、
地上へ出たものの全く羽化せずに終わり、アリが集っているもの。
その周りで“成功”した蝉達が五月蠅いくらいに鳴いている。
結構な割合で失敗するんだなー
当たり前だけど、死に顔はみんな同じだった。